古を稽(かむが)へて現在を誡め現在を味ふて而して将来を誨るは凡そ物の順にして亦最も必要な事に属せり
100年前の村会議員のみなさんです。いかついですね。
役場の職員のみなさん。腕組んで「なんやコラ」という感じ。
頼み事は聞いてくれそうもありません。
能勢領内に通用せし能勢札とあります。地域通貨みたいなものでしょうか。
役場および学校全景。なかなかハイカラな建物だったんですね。
100年前の野間神社。
昔は妙見山頂に郵便局があったようです。
100年前の地黄郵便局。
これは現在も面影ありますね。
100年前の野間の大けやき。
今とあまり変わってません。
本村は有名なる妙見山の在るあり、而して昔より京阪人士の賽者頻繁にして従って都会の事物並びに風習を間接に直接に見聞することの多きは、確かに之が一因を為すものならんも、一利一害は数の定理にして、又之が為に都会人士の敏活なる行動をも窺知する動機あるものなれば、吾人は只将来、田舎特有の質素篤実の魂を育て、都会新進の商才気鋭を加味し、社会の時運に後れざらん事を切望し置かんのみ
【住家】すべて藁葺にして堅牢質素を旨として建てたるものなり、屋内に畳を敷く様な事は殆ど稀にして大抵皆板の間にムシロを敷き居りたり
【食事】大抵米三分に麦七分位の割合にて焚く
【炭】クヌギ又は堅木の炭を使用する事は極めて稀なり、大抵は囲炉裏にて焚火し、炭を使用せざるべからざる場合は主に消炭を使用す
【酒、醤油】これらの類はすべて自醸したる由なり
【衣服】自ら綿を作り、自ら紡ぎ、自ら織り、もっぱら堅牢を旨とし柄または流行を追うような事なかりしとぞ
【染物】小紋様の物は専門家に委ねるも、その他の染物は大抵自ら染めたる由にして、
萌黄色は「アヲラ」又は粘ツツジにて、黄色はクチナシ、茶色はハリの木にて、黒色は泥田の中へ染めんとするものを投入し置くもの也
【草の市】毎年八月十一日、野間神社馬場先へ諸方より商人集まり来たり、仏事用の諸物品を商ふ、飲食物の露天など多し
草市や店のうしろは虫の鳴く 一蝶
【午鐘】何時の頃よりはじまりしが不詳なれども、清普寺、園珠寺にては正午に梵鐘をつくこと行ひつあり、又、役場にては太鼓を叩き居れり、午寝(ひるね)期間には午後二時に午寝起きなる鐘をつき、又太鼓も叩く例なり
【方言訛】語尾に「けんど」なる言葉をよくつけたる由
けんどけんどと言ふてやけんど、今はけんどや無いけんど
【ドテライ】甚だしきものの意、又、感嘆の場合にも使ふ
ドテライ雨じゃ ドテライ装して
【何したもん】
例せば、いろいろお世話になりましたが、とうとう彼も死にまして、、、客、なんしたもんやろ
私の子は金を盗んで逃走しました、そらなんしたもんじゃい
【ワヤ】残念なりとの意、又つまらぬとの意
例せば、折角骨折って大根の世話したが虫がついてワヤじゃ
降らぬつもりで傘を持たずに来たが、降ってきてワヤじゃ
以上要約すると、昔の能勢の人は、妙見山に参拝に来る都会人に接したりして、都会の風習は知っていたが、自分たちは流行を追うことなく質素堅牢であることを大事にして、出来るだけ自分たちで作れるものは作って、適度に昼寝をして、今と同じように、「けんど、けんど」「もうワヤじゃ〜」などと言う方言をしゃべっていた、らしいです。